こんにちは、Nはしです。
元漫画アシスタントでして、創作関連の発信をしています。
アシスタントに入る前からもちろん自分の作品づくりはしていたのですが、
「プロの現場の原稿は、自分が思っていた3回りくらい処理をやって普通」
という感じでした。
本日は、その3回りの中の一部、フチの話をしていきます。
地味な作業ですが、この処理をすると、絵の出来上がり具合がワンランクアップしますよ!
目立たせたいものを目立たせるために。
↓こちらで、メインとそうでないものをはっきりさせるために、細い線と太い線の対比で表現すると説明しました。
今回のふちの処理も、目立たせたいものを、読者により理解してもらいやすくするためにやっていきますよ。
まず、こちらの画面で目立たせたいのは中央にいるキャラクターです。
今のままでも、目立ってはいるのですが、更に際立たせるために、フチの処理をしましょう。
フチの処理❶キャラクターのフチを太めの線で囲む
一つ目の処理として、”際立たせたいキャラクターのフチを太めの線で囲む“というやり方です。
パッと画を見た時に、人間の目は黒い部分に注目しやすいので、太めの線だと単純に読者の目がいきやすいのです。
欠点として、線が太すぎたりするとイラスト感が強くなり、止まった絵になりやすいです。
(コマの流れが止まってしまう事も)
↓詳しくコマの流れについて知りたければ、この本がオススメ
紹介記事
読者の目が止まりすぎるとコマの流れも止めてしまうのですが、それを利用して、ここぞと目を留めたい決めのコマでカッチリ囲むと、効果的に使えますね。
囲むまでいかなくとも、フチに太めの線があると、読者の目線を引きつける事が出来ます。
フチの処理❷フチの周りをホワイトで抜く
二つ目の処理は、キャラクターの周りをホワイトで何ミリ分か、隙間をつくる事です。
↑隙間があるの、分かるでしょうか
少女漫画など、太めの線をあまり使いたくない時にも、このやり方なら、あまり絵の印象を変えずに対象を際立たせる事が出来ます。
この処理をすると、対象が浮き上がるように見えると言いますか、区別がはっきりして見やすくなります。
非常に細かい作業ですが、やると見やすさが格段にあがります。
ホワイトに慣れないうちはキャラクターの線を潰してしまいやすいので、丁寧にやってみましょう。
面相筆(すごく細い筆)や、Dr.martinのホワイトだと細かいところもやりやすいです。
↓紹介記事
・おまけ
上の例だと効果線とキャラクターの線の太さが近く、髪の色も白なので、ホワイトで抜くと少し見づらくなっちゃいました。
例えばですけど、バックにトーンを入れるか、効果線をもっと細くすると更に見やすくなるかなと。
キャラを際立たせるふちの処理・まとめ
いかがでしょうか。
上記の紹介した2つとも、フチを太め+ホワイトで抜く併用なんて事も出来ます。
地味めな処理ですが、プロの漫画を見てみると、こうしたちょっとした見やすくなるような処理がたくさんされています。
こういう処理の上手い漫画家さんほど、読者はストレスなく漫画を読めますし、皮肉な事に、こうした気遣いがある事さえ気づかれません。
なんのストレスもなくスルーっと読み終えてしまうので、純粋に「面白かった」か「面白くなかったか」しか読者は考えなくて済むのです。
華やかな職業と思われやすい漫画家さんですが、裏では
「いかに読者に効果的にストーリーを伝えるか」
という事を本当に考えて絵をつくっています。
皆さんも、原稿の見やすさアップのために是非試してみてくださいね!