この記事はこんな方におすすめ
- アナログで漫画を描きたい
- トーンを貼る時に重ね貼りをしたい
- 他の人のトーン重ね貼りの練習作品を見たい
こんにちは、Nはしです。
元漫画アシスタントでして、創作関連の発信をしています。
アナログで漫画を描く時、グレー部分はトーンで表現されます。
トーンの使い方は何種類かあります。
これまでいくつかご紹介してきました。
ココがポイント
ココがポイント
ココがポイント
本日は、トーンを重ねて使う「重ね貼り」のやり方をご紹介します。
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重ね貼りは、その名の通り、トーンを重ねればいいのですが、何も考えずに重ねてしまうと、模様になります。(下の画像、左側部分)
なんかチェックみたいな模様になっていますね。
トーンを重ね貼りして出来るこの模様のことを、「モアレ」と言います。
アナログでトーンを重ねて貼る時に避けたい、「モアレ」
「じゃあ、この模様を模様として使おう!」
と思われるかもしれませんが、基本的にはモアレは避けるべきものという印象が強いです。
業界的に?あまりカッコイイものという扱いではない感じです。
モアレを避けるためには、「トーンの番号」を理解してから重ね貼りする必要があるのです。
同じ番数どうしを重ねると、モアレは出ません。
どういう事か、説明していきます。
ポイント
アナログでトーンを重ねて貼る時には番号に注意しよう
ドットのトーン(影などの基本的なところに使うトーン)には全て番号があります。
トーン番号の2桁の数字が
- 少ないほど、ドットの大きさが大きい
- 数字が多いほど、ドットの大きさが小さい
という感じです。
以下を見ると、分かりやすいです。
ドットが大きい
↑
50番台
60番台
70番台
80番台
90番台
↓
ドットが小さい
更に、1ケタの番号でそれぞれ濃さを表します。
必要なモノ
- 数字が小さいほど、薄い
- 数字が大きいほど、濃い
例えば、50番台だと
薄い
↑
51
52
53
54
55
56
↓
濃い
そして、印刷した時に、ドットが小さ過ぎると潰れてしまいますので、漫画を描く時に使うトーン番号は限られてきます。
ポイント
ドットが潰れると、下の線が見えなくなったりして、あまり綺麗とは言えない感じなので注意です。
ドット潰れを避けようとすると、印刷で潰れない番数は50~80番台。
人物の影に貼るトーンは61番がオーソドックスな気がするので、それを使っておくと良いです。
アナログでトーンを貼る時に、どうすればモアレを避けられるの?=同じ番号を重ねよう。
モアレが出来るのは、
2桁の違う番数のトーンを重ねた時
です。
NG(モアレが出る)
50番台と、60番台or70番台などの組み合わせ(51と61or71でもダメ)
モアレを避けるには
・50番台は50番台と重ねる(例:51と53→ok)
・60番台は60番台と重ねる(例:61と63→ok)
・70番台は70番台と重ねる(例:71と73→ok)
という事です。
番台が同じであれば、1の位の数はどれでも問題ありません。
ただし、同じ番台のトーンを使っても、角度がずれるとモアレが出ます。
重ねる時は、下のトーンと同じ角度に合わせて貼る必要があります。
結構気を使う作業です。
同じ番台で角度を同じで重ね貼りした例(モアレは出ない)
同じ番台で角度をずらして重ね貼りした例(モアレてる)
アナログ:トーン重ね貼りの練習作品
以下、おまけでNはし練習作品です。
同じ番数のトーンを重ねてつくったので、モアレは出ていません。
多分、アシスタントに入ってすぐ位の練習作品です。
当時トーンの知識がなく、ドットの潰れやすい90番台のトーンでつくってしまっていますが、練習にはなりました。
(デリーターSE-92とメモってますね)
トーン重ね貼り+削り
トーンの重ね貼り、綺麗な表現に使えますよね。
なお、何かの教材を参考に、真似して練習として描いた記憶があるので、Nはしの創作ではありません。
その教材が何だったか、全く思い出せない、、。スミマセン。
余談:webで見ると関係なくモアレが出る事あり。web発表にはトーンは不要?
アナログでモアレが無いように処理しても、webで見るとなんの加減かモアレになってしまう事が起きています。
(場合によっては重ね貼りしなくてもモアレになる)
拡大縮小の問題のようなのですが、
・拡大して、実際の大きさにするとモアレがなく見える
・デバイスの大きさに縮小されるとモアレが出る
という事のようです。
前にiphoneアプリの漫画で、
・拡大すると大丈夫だけど、デフォルトで表示された状態(多分縮小されてる)だとモアレになってしまう
という状況がありました。
レビューで結構きつい言い方で、
「プロのくせにモアレをつくるなんて!」
と指摘されていて、見ていてお気の毒でした。
拡大すると問題ないんですよ、、。
描き手としては、ちゃんとやっているのですが、大きさがデバイスの画面で変わってしまうと、どうしようもありません。
「webでのみ発表する」という場合は、グレー部分はドットのトーン状にしない方が、むしろ見やすいかもしれません。
トーンは元々、印刷で濃淡を表現するためのものなのです。
なんとなく時代の流れを感じつつも、トーン重ね貼りは手間がかかる分、出来上がった時の美しさはなかなかのもので、絵描きとして自信になります。
是非チャレンジしてみてください。